飲食店の売上予測の立て方|席数×回転数×客単価を現実の数字で組む

飲食店の売上予測の立て方 開業準備
飲食店の売上予測の立て方

事業計画書の中で、いちばん「願望」が入り込みやすいのが売上予測です。そして融資の審査担当者は、その願望を一瞬で見抜きます。売上予測の目的は大きな数字を見せることではなく、「この数字なら固定費を払っても残る」と自分で確信することです。この記事では、現場で使ってきた売上予測の組み立て方を解説します。

売上予測の基本式

飲食店の売上は、次の式に分解できます。

月商 = 席数 × 満席率 × 回転数 × 客単価 × 営業日数

この式の良いところは、どの数字も「調べられる・数えられる」ことです。願望の入り込む余地を、ひとつずつ潰していけます。

席数は坪数から自動的に決まる

席数は「何席置きたいか」ではなく、物件の広さで決まります。私が業態開発で使っていた経験則は、席数=坪数×1.5〜1.7。厨房やバックヤードを含めた総坪数に対して、この範囲に収まるのが現実的な線です。これを超えて詰め込むと、客席が窮屈になるか、物件選びの記事で書いた「休憩室のない店」になります。

満席率と回転数は「時間帯別」に組む

1日をひとまとめにした「平均回転数」で計算すると、必ず楽観に振れます。ランチのピーク、アイドルタイム、ディナー、深夜。時間帯ごとに「満席の何割まで埋まるか」「客は何回入れ替わるか」を分けて積み上げてください。さらに平日と週末でも分けます。

このとき役に立つのが、契約前の通行量調査です。同じ立地の競合店に入り、時間帯別の埋まり具合を自分の目で数える。これ以上確かな根拠はありません。

「理想形」と「立ち上がり」を分けて計画する

私が関わった業態開発では、計画を2段階で作っていました。まず、店が100%機能したときの「モデルPL」。次に、開店からの立ち上がりを織り込んだ「年度計画」です。5ヶ年計画では初年度・2年度は赤字、3年度で黒字化という設計を最初から組んでいました。

個人店も同じです。「軌道に乗った月の売上」と「開店1ヶ月目の売上」は別物として計画してください。目安として、初月は軌道時の5〜6割から始まり、認知が広がるにつれて半年〜1年かけて育っていく。そのあいだの赤字を支えるのが、開業資金の記事で書いた運転資金です。

できた予測を疑う3つのチェック

  1. 売上が予測の8割でも耐えられるか: 8割の売上で固定費と返済を払えるかを必ず試算する
  2. 家賃+減価償却費が売上の20%以内に収まっているか: 25%を超えるなら物件か投資額を見直す
  3. 必要客数を現地の人通りと照らしたか: 1日に必要な客数が、実際にその場所を歩いている人数・競合の入りと矛盾していないか

3つとも通れば、その予測は「願望」ではなく「計画」です。逆にひとつでも引っかかるなら、開店してから苦しむ前に、机の上で直せるうちに直しましょう。

まとめ|数字は開店前なら何度でもやり直せる

売上予測は、席数×満席率×回転数×客単価×営業日数に分解し、時間帯別・曜日別に、調べた数字で積み上げる。理想形と立ち上がりを分け、8割シナリオで耐久テストをする。ここまでやった計画書は、融資の場でも説得力がまるで違います。

客単価の決め方はコンセプトの記事で、投資とコストの上限は開業資金の記事で解説しています。あわせてどうぞ。

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